歯科恐怖症からの逆転

歯科恐怖症。高所恐怖症、閉所恐怖症のような恐怖症の一種で、歯医者に対して強い恐怖を感じてしまう方が、まれにいらっしゃいます。
そのような方は、虫歯や歯周病になっても歯医者に行くのが遅れてしまい、お口の状態が悪くなってしまうことが多いです。

60代の女性の症例です。
この方は歯科恐怖症だったため、20年以上、歯医者に行っておらず、歯医者に行かないうちに歯が抜けてきてしまったとのことでした。
来院時は、ほとんど無事な歯が無い状態で、「上下すべての歯をインプラントにしたい」と決意されていました。

しかし、治療の音など全てが怖いということでしたので、怖い思いをされないよう慎重を期す必要がありました。この点は、私だけでなく、スタッフ一丸となり取り組みました。たとえば、あいば歯科の診察室は全て個室になっていますが、隣の診察室から歯を削る音が聞えたりしないよう、この方の予約を入れる際は、隣も音が出ない治療になるよう調整をしました。
そして、手術にも強い恐怖感をお持ちでしたので、全身麻酔で手術することをご提案しました。

あいば歯科のインプラント手術は、通常、局部麻酔になります。
もちろん局部麻酔でも痛みを感じることはないのですが、恐怖心などが強い方には、ご希望に応じて、このように全身麻酔をご提案することもあります。
手術中ずっと、うたた寝をしているような状態で過ごしていただけます。
この方も、「うたた寝しているうちに手術が終わっていた。まったく怖くなかった」と喜んでくださいました。手術後はその日のうちに強化プラスチックの仮歯が入り、何本も歯が抜けてしまっていた状態から、清潔感のある美しい口元へと変わりました。

全身麻酔をするときは、全身麻酔の設備がある近隣の病院に1泊入院していただき、その病院でオペを行います。1泊になるので「1日インプラント」ではなくなりますが、このようなご対応も可能です。

現在は最終的なセラミックの歯も入り、数カ月に1度のメインテナンスに通っていただいています。怖い思いをされることがないよう、診察室での声掛けなど、つねに配慮しながらご対応を続けています。

【治療期間】
5か月(初診から、「1日インプラント」でプラスチックの仮歯が入るまで)。2年後にセラミックの歯に変更。

【費用】
Allon4の標準的な費用は片顎150万円~です。

【リスクと副作用】
オペや仮歯作製時期により、手術当日に仮歯が入らないケースもあります。インプラントを入れた方は数カ月に一度のメインテナンスが必要です。メインテナンスや日常の歯磨きを怠ると、歯周病のようにインプラント周囲炎が起こることがあります。

上顎オペの場合、より安全な治療にするために、頬骨に長いインプラントを埋入するケースがあります。手術時間が若干、長くなる可能性がありますが、料金は変更ありません。